建設業許可を取得するための「5つの要件」を簡単にわかりやすく説明したいと思います。
建設業許可に必要な5つの要件
18.11.30
建設業許可を取得したいと言った時に必ずといっていいほど、建設業許可を取得するためには「5つの要件」が必要であると言われます。
建設業許可5つの要件
要件1 経営業務の管理責任者がいる事
要件2 専任技術者が営業所ごとに常勤している事
要件3 請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有している事
要件4 請負業務に関して誠実性があること
要件5 欠格要件に該当しない事
この5つの要件の全てを満たせない事業者は建設業許可を取得することはできませんが、一般的にはその中でも重要なのは要件1〜3で、これが建設業許可取得の最大のポイントとなります。
この3つの要件で問われていることはこのようなことです。
要件1 経営はできるのか?
要件2 仕事ができる技術はあるのか?
要件3 仕事を続けられるお金はあるのか?
書くと簡単な事ですが、建設業許可が取れない場合、多くはこの3つの要件の中のいずれかに原因があります。反対にこの3つの要件が揃っていれば、建設業許可を取るのは難しいことではないとも言えます。実際の申請を行うときには、この3つの要件が全て揃っている事を「書類で立証」することに多くの労力を費やすことになります。
このように重要なポイントの3つの要件ですので、ひとつずつを丁寧に説明したいと思います。
要件1 経営業務の管理責任者がいる事
(経営はできるのか?)
それでは「経営業務の管理責任者」とはどのような人の事でしょうか?
簡単に言うと「建設業の経営者か役員、または個人事業主で、経営を長く経験し精通している人」です。「支店長や営業所長」でもなれる場合があります。
つまり、責任のある経営を行える立場と能力のある人です。
「建設業許可」がどうして「経営業務の管理責任者」の存在を許可の大切な要件の一つとしているかというと、許可を取得した建設会社や個人事業主の経営がうまくいかなくなる事を恐れているからです。構造的に建設業者の下には下請け業者が多く、建設された建造物は長く使用されることになります。また、多くの資材を購入したり、建設機器を購入・レンタルすることも多いので、一社の建設事業者の経営不振、倒産の影響はとても裾野が広く深刻なものとなります。
経営不振、倒産は建設業に限ったことではありませんが、長く事業を経営して行くことは難しいことです。
そのため、国や県が「建設業許可」を与えるからには、その建設業者には、責任のある経営を行っていける能力のある「経営業務の管理責任者」の存在が必要不可欠と考えているのです。
経営業務の管理責任者の要件
(イ)許可を受けようとする建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること。
(ロ)許可を受けようとする建設業に関し、経営業務管理責任者に準ずる地位にあって次のいずれかの経験を有していること。
(a)経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験
(b)6年以上経営業務を補佐した経験
(ハ)許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し、6年以上次のいずれかの経験を有していること。
(a)経営業務の管理責任者としての経験
(b)経営業務管理責任者に準ずる地位にあって、経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として建設業の経営業務を総合的に管理した経験
*(参考) ここでいう法人の役員とは、次の者をいいます。
・株式会社又は有限会社の取締役
・指名委員会等設置会社の執行役
・持分会社の業務を執行する社員
・法人格のある各種の組合等の理事
要件2 専任技術者が営業所ごとに常勤している事
(仕事ができる技術はあるのか?)
次に専任技術者というのはどのような人でしょうか?
建設業の技術を持った人のことです。資格者か実務経験者ということになりますが、営業所が複数の場合は専任技術者は営業所毎に必要となります。
業種毎に定められた資格者か、学校で建築を専攻した後、実務を経験した人などがなる事ができますが、建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」、「業種は29業種」の区別があり、資格や学校などによって取得できる業種が詳細に定められていますので、取得したい業種毎に調べる必要があります。
一級建築施工管理技士のように一つで多くの業種の専任技術者となれるような資格もあります。
また、同じ業種で10年間以上の実務経験を積んだ方も専任技術者として認められますが、この10年間分の実務経験を書類で証明しなくてはなりませんので、実際には実務経験があっても取得が難しいケースもあります。
注:10年の実務では認められない業種もあります。
専任技術者の要件
《一般建設業の許可を受けようとする場合》
[1]-1指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、高校卒業後5年以上若しくは大学卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ、それぞれ在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
[1]-2指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者又は専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者
・許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校後5年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
・許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校後3年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者のうち、専門士又は高度専門士を称するもの
*専門士は専修学校の専門課程の修了者に対する専門士及び高度専門士の称号の付与に関する規定(平成6年文部省告示第84号)第2条、高度専門士は同告示第3条に規定のものを指します。
*「指定学科」とは、建設業法施行規則第1条で規定されている学科で、建設業の種類ごとにそれぞれ密接に関連する学科として指定されているものです。
[2]許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
[3]-1国家資格者
[3]-2複数業種に係る実務経験を有する者
《特定建設業の許可を受けようとする場合》
[1]国家資格者
[2]指導監督的実務経験を有する者
前述の【一般建設業の許可を受けようとする場合】の専任技術者要件を満たしている者で、かつ、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものについて2年以上指導監督的な実務経験を有する者
*「指導監督的実務経験」とは、建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような資格で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
*指定建設業の許可(下記参照)を受けようとする場合は、この[2]の要件に該当しても許可は取得できません。([1]または[3]のいずれかの要件を満たすことが必要です)
[3]大臣特別認定者:建設省告示第128号(平成元年1月30日)の対象者
指定建設業7業種に関して、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格した者若しくは国土交通大臣が定める考査に合格した者
*「指定建設業」とは、施工技術の総合性、施工技術の普及状況、その他の事情等を勘案して定められた業種で、現在、次の7業種が「指定建設業」として定められています。(建設業法施令第5条の2)
指定建設業→土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業
*上記の「指定建設業」を受けようとする場合に設置しなければならない専任技術者は[1]または[3]の要件を満たすことが必要です。
*上記[3]の特別認定講習及び考査については、指定建設業制度が導入された際に行われたものであり、現在は実施していません。
《解体工事業の新設に伴う経過措置》
解体工事業の新設に伴う経過措置として、平成28年6月1日時点において現にとび・土工工事業の技術者に該当する者は、平成33年3月31日までの間に限り、解体工事業の技術者とみなされます。
要件3 請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有している事
(仕事を続けられるお金はあるのか?)
建設工事を着手するに当たっては、資材の購入、労働者の確保、機械器具等の購入など、一定の資金が必要になります。
そこで確認が必要となってくるのが、事業者に建設業の許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの財産的基礎、金銭的信用があるのかと言う事です。
前にも書きましたが、建設事業者が倒産などしてしまうと資材を納入した業者、下請けをした労働者、機械器具をレンタルした業者への支払いなど、非常に広範囲へ影響が広がるのです。大きな工事を請負うためには建設業許可が必要とされる理由の一つですので、資金調達ができる事が重要な要件の一つとなります。
財産的基礎または金銭的信用の要件
一般建設業と特定建設業では要件が異なります。
《一般建設業の許可を受けようとする場合》
次のいずれかに該当すること。
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力を有すること
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
要件5 欠格要件に該当しない事
・建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者